- お知らせ
- 2026.08.31
日本語ゼロからの4か月。長崎県「はじめての日本語コース」が始まります

いよいよ明日、9月1日から始まります。
長崎県の事業として、2026年度の「令和8年度長崎県はじめての日本語コース」がスタートします。
pordoは昨年度に続き、本事業を請け負い、講師としてこのコースに携わります。
全32回、64時間。
約4か月間にわたって、オンラインで日本語を学びます。
日本語の勉強を「ゼロ」から始める人たち
このコースに参加するのは、日本語をほとんど話せない、聞き取れないところから日本語の勉強を始める人たちです。
コース全体としては、外国語の学習レベルでいう「A1」程度を目指します。
ひらがなやカタカナが分かるようになる。
自分の気持ちを日本語で伝えられるようになる。
日本語で簡単な受け答えができるようになる。
でも、このコースには、もう一つ大切にしていることがあります。
それは、一人ひとりの「これができるようになりたい」を大切にすることです。
4か月後、「何ができるようになりたい?」
申し込み後、参加者一人ひとりと、1時間弱の事前面談を行います。
これまでどんな生活をしてきたのか。
今、どんな仕事をしているのか。
長崎でどんな暮らしをしているのか。
これからどんなことができるようになりたいのか。
そんなことを、一人ひとりに聞いていきます。
その話をもとに、コース全体の目標とは別に、その人自身の「4か月後にできるようになりたいこと」を一緒に考えます。
たとえば、
- 近所のケーキ屋さんのオーナーに、天気の話をして話しかけることができる
- アルバイト先の同僚をカラオケに誘うことができる
- 娘の担任の先生に、子どもが休みの日にしていることを伝えることができる
そんな目標です。
どれも、テストの点数ではありません。
長崎でこれから暮らしていくために、その人にとって必要な「できること」です。
4か月という期間の中で、その人の今の日本語力や生活、将来の希望などを考えながら、「これならできるようになりそう」という目標を一人ひとり設定していきます。
この時間は、私たちにとっても、とても大切な時間です。
なぜ、オンラインなの?
今回のコースは、完全オンラインの同期型で行います。
長崎県は、長崎市や佐世保市だけではありません。
離島もたくさんあります。
また、車やバスなどの移動手段がなく、教室まで通うこと自体が難しい人もいます。
「日本語を勉強したいけれど、教室まで通えない」
そんな人にも学ぶ機会を届けるため、オンラインという方法が選ばれています。
もちろん、日本語をほとんど話せない人にオンラインで日本語を教えることには、難しさもあります。
でも、基本的な考え方は、対面の授業と大きく変わりません。
最初のうちは、必要に応じて、簡単な言葉の翻訳や単語リストなども使います。
でも、日本語を教えることは、単に言葉を翻訳することではありません。
やさしいことばでやり取りを重ねて、言葉を育てていく。
そんな授業をしていきます。
最初は、画面越しに一生懸命「聞く」
昨年度も、このコースを担当しました。
始まったばかりのころは、私たち講師も、参加者が何を言っているのか聞き取るのに必死でした。
画面をじっと見つめて。
眉間にしわを寄せて。
一生懸命、聞き取ろうとしていました。
それが、数週間、数か月と授業を重ねていくと、少しずつ変わっていきました。
画面の向こうの人たちが、だんだんニコニコしてくる。
そして、こちらから質問しなくても、自分から話そうとしてくれるようになる。
「むすめが、けっこんしました」
「きのう、みずうみにいきました」
そんなふうに、自分から言葉を出そうとする姿が増えていきます。
その変化を見ていると、私たち講師も本当にうれしくなります。
日本語教師の腕の見せ所は、「ゼロ」からの授業かもしれない
これは私自身が日本語教師として感じていることですが、日本語をほとんど知らない人に、ゼロから日本語を教えることは、日本語教師の腕の見せ所の一つだと思っています。
何も聞き取れなかった人が、少しずつ聞き取れるようになる。
一言だった発話が、二言、三言と増えていく。
そして、ある日、自分から話しかけてくれる。
そのステップアップが見えやすいからこそ、教えている私たちも、ぞくぞくするくらいうれしくなるんです。
……ちょっと変ですかね(笑)。
でも、それくらい、この仕事には大きなやりがいがあります。
「教える人」と「学ぶ人」だけではない
もう一つ、この仕事をしていて感じることがあります。
私たち講師も、長崎に暮らす住民の一人です。
だから、オンラインで授業をしているといっても、「日本語を教える人」と「日本語を学ぶ人」という関係だけではないような気がしています。
去年のコースでは、授業を重ねるうちに、参加者の皆さんとの距離が少しずつ近くなっていきました。
対面で会ったことがなくても、
「友達が増えていくような感覚」
がありました。
講師2名でこのコースを担当しましたが、昨年度は授業のあとに、
「この仕事、やりがいがあるね!」
と何度も話したことを覚えています。
長崎で暮らす人が、日本語で「できること」を増やす
日本語を学ぶことは、試験に合格するためだけではありません。
仕事をする。
買い物をする。
病院に行く。
学校の先生と話す。
近所の人と話す。
友達をつくる。
自分の希望を伝える。
そうした、毎日の暮らしの中に、日本語があります。
だからこそ、私たちは「日本語を教える」だけではなく、その人が長崎で暮らしていくために、日本語で何ができるようになるといいのかを一緒に考えたいと思っています。
今回の4か月間も、一人ひとりの「できるようになりたい」を大切にしながら、日本語を育てていきます。
自治体・地域の日本語教育について、ご相談ください
pordoでは、自治体から請け負った日本語教室の運営や、自治体・地域に暮らす外国人住民を対象とした日本語教育に取り組んでいます。
今回のような初心者向けの日本語教室は、オンライン・対面のどちらでもご相談いただけます。
「地域に日本語教室をつくりたい」
「外国人住民のための日本語支援を考えている」
「自治体として日本語教育の取り組みを始めたい」
そんなご相談がありましたら、お気軽にお問い合わせください。
日本語を学びたい人に、必要な学びを届ける。
それは、これからの地域づくりの中で、ますます大切になっていくことだと私たちは考えています。
そして、明日から始まる4か月間。
今年はどんな「できるようになった」が生まれるのか、私たち講師も楽しみにしています。


